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3月20日、名古屋での関生支部組合員との交流集会、55名が集う

―7人無罪、コンプライアンス・ビラまき事件判決が問う表現の自由と刑事弾圧―

 名古屋市熱田区の労働会館で開催された「関西生コン労組つぶしを許さない東海の会」主催の表記のテーマの集会は熱気のこもった発言、質疑が続き、関生支部組合員と支援の団結を一層強く打ち固めるものになりました。

 

 集会は植木事務局次長の司会で始まり、石田好江共同代表が「この2・6判決には私も大津地裁に行き、前段集会にも参加した。前段集会では発言者がみな、『今日の判決には期待できないが』と言っていたが、7人が無罪となった。その判決の解説をしてもらいます。今日、もうひとつは高槻生コンの事務員部会の女性組合員が発言する。事務員部会の会報を読んだが、労働組合が人間を成長させ、人間の信頼を回復させる機関だということが良く解る内容だった。楽しみにしています。」と挨拶しました。

 次に同じく会の共同代表の中谷雄二弁護士が5ページのレジュメを作成し、2・6大津地裁判決の意味を端的に解き明かしました。冒頭、中谷弁護士は、「無罪判決というのは普通、相当の説得力があるものだが、全然それがない。レベルが低い酷い判決。起訴されたから有罪だろうというこのような裁判官を相手に7人の無罪を勝ち取ったのは、法廷内外で相当の闘いがあったのだろうと思う。」と述べました。次に事件の概要と被告9名のうち7名無罪と有罪となった2名の判決内容を紹介、共謀共同正犯が安易に拡張される傾向がある中で大阪の7名について共謀が否定されたのは闘いの成果である、しかし判決の内容は極めて問題があり、犯罪の構成要件該当性だけが判断され、労組法1条2項の違法性阻却については全く判断されていない、と判決の問題性の核心に迫りました。

 続けて中谷弁護士は以下のように指摘し、判決の問題点を具体的に指摘しました。

「労働組合の本来の役割は、団結の威力を背景として、経済的自由に対する制約を求めること(実質的な対等の回復)にあるのだが、この判決は、本来企業が自由に決定できる事項を労組の団結の圧力や威力によって変えようとする活動は全て、「正当行為」にならないという論理となっており、本来検討すべき、コンプライアンス活動が労働者の経済的地位の向上に役立つかという観点を完全に欠いた議論になっている。」

「コンプラ活動を違法ではないとした大阪高裁星山決定について(コンプラ活動等が)必要以上に反復・継続する場合には、違法な業務妨害行為と評価すべき場合も生じ得るとしているなどと言及しながら、星山事件決定が68回のコンプライアンス活動を適法と評価しているにもかかわらず、大津地裁判決は約1ヶ月間で9回のコンプラ活動を違法としている。」

「近代刑法の罪刑法定主義とは主観的判断を排し、内心の理由だけで処罰してはならないとするものであり、法律家たるのも、条文に照らして規範を設定し、違法性を判断するものであるが、大津地裁判決は、行政や警察に通報するといった本件コンプラ活動について『指摘された事項の多くは、その中に一部それ自体は正当な指摘があったとしても即座に是正しなければならないようなものとは認められないし、社会常識に照らし軽微といわざるを得ない。仮に一定の違反があったとしても、その是正を求める手段として不穏当であり、企業にとって、強い心理的圧力を与えるものといえる。』等としている。」

「平穏なビラ配布は、憲法21条の保障の下にあり、名誉毀損等の違法な場合(最高裁判例-公益目的・公共性・真実or真実と信じるにたる相当な理由を持たない場合)のみが例外とされているが、大津地裁判決はこの点は全く判断していない。」

 「関生を削るという取調検事の発言、組合をやめることを繰り返し求める取調刑事の発言、組合に残れば逮捕するし、組合を脱退すれば逮捕しないというあからさまな対応、大津地裁判決は検事発言を問題とせずに公訴権濫用に当たらないとしている」

 と大津地裁判決の欠陥を全面的に明らかにしました。

 そして、中谷弁護士は、 関西生コン事件-なぜその理解が広がらないかと問題提起し、その要因として、(1)企業内組合が当たり前の意識 (2)長らくストライキ、ピケッティングなどの闘争を目にしないことによる実力闘争に対する違和感  (3)忘れ去られた他企業への要請・背景資本攻め(4)労働組合が自らの権利を、雇用関係がある使用者にしか権利行使が許されないという使用者側の論理・権力側の判例法理に屈すること を挙げ、これらを打ち破るべく、今こそ抵抗の時ではないのか?と結びました。

     中谷弁護士講演動画  https://youtu.be/kj1lXiE4VwI

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中谷弁護士のレジュメ
関生事件大津判決の意味レジメ(東海の会).pdf
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 第2部では関生支部の組合員4人の発言がありました。

 大浜資材分会の赤川執行委員は物心両面に渡る支援にお礼を述べた後、2月6日の大津地裁判決について、「そもそもコンプラ活動やビラまきといった労組の当たり前の活動など事件にもならないものを事件とした弾圧で無罪は当然、しかし、声を上げなければ7人が無罪になることはなかった」と指摘、「和歌山事件では大阪高裁が産業別労働組合の行動権を認める画期的な勝利判決があり、私たちは行動を強めているが、これに対して、大阪広域生コン協同組合は、私の職場である大浜資材他3つの会社に対して連帯の組合員を排除するように通達、会社の呼び出しに私が組合脱退を拒否すると翌日から自宅待機となった。裁判と労働委員会では判決と命令待ち、他の2職場は会社に謝罪させたり、不当労働行為の認定を勝ち取ったりしています。」と職場闘争について報告、「闘いの毎日を送り、大阪広域協組が態度を改めるまで頑張りますので、引き続きご支援をお願いします。」と結びました。

  続いて大浜資材分会のT分会長が発言、「『組合を辞められないなら仕事はさせられない』と言われ、自宅待機下での闘いを続けている。2013年に組合加入、劇的に労働条件が良くなるかな、と思ったが、自分でできることをやることが大事と気づき、組織拡大などに取り組んできた。今回の弾圧は関生支部にとっては3回目の大きな弾圧、世代交代を実現した。組合員であることに誇りを持っている。先輩たちの闘いを引き継ぎ、次にバトンを渡せるよう、必ず組織を盛り返していく」と決意を明らかにしました。

 次に、TYK高槻生コン分会の女性組合員のKさんが発言、まず、現在の争議について、「高槻生コンは労働債権から組合がオーナーになった会社、社長になることになった門田氏の勝手な行動が目立ちだし、2018年の弾圧でそれが酷くなった。関生支部が世代交代し、代表取締役を交代させると、門田氏は勝手に生コンプラントを大阪広域協組副理事長の大山に僅か1千万円で売り渡し、組合員2名を懲戒解雇、外全員を整理解雇した。今、日々雇用の手帳を取得して闘っているが、必ず完全勝利するまで組合員一同は闘い続けるつもりだ」と述べました。話は連帯ユニオンに事務員部会を作った経緯に移り、「以前勤務している会社で事務員の給料が何故安いのかと社長に聞くと、『事務員は金を生まないだろう』と言われた。関生支部に来てから、春闘で、ミキサードラーバー以外にも製造に携わる組合員の賃金要求はあったが、事務員の要求はなかった。疑問を湯川委員長にぶつけると、『自分たちでやってみたら』と言われ、3人で事務員部会を結成することになった」と説明しました。最後に自らが2011年に受けた弾圧について「清掃・産廃収集の会社で退職勧奨を受けた男性ドライバーと共に関生支部に加入した。会社が団交で組合員にだけ昇給していないことを示す資料をたまたま見つけ、5ページプリントアウトをして組合に渡した。そうするとコピー用紙5枚を窃盗したと逮捕され、勾留、起訴されて、懲役2年執行猶予3年の判決を受けた。母子家庭で子供のことも心配だったが、毎日『Kさん、頑張れ』と宣伝カーの声が聞こえた。友達は2,3人しかいないが、仲間は100人いる、私には組合を辞めるという選択肢はない」と語ってくれました。

 最後に2・6判決で無罪となり、和歌山事件でも無罪となった大原執行委員が発言、今回の弾圧について、逮捕・勾留・保釈が3度繰り返され、子供たちの交際にも影響があり、正月に親戚が集まれば「家族のために働いているのに、なんで組合を辞めないのか」と言われることもあったが、家族の支えの中で闘いぬいた経緯を話し、「5年と1日目に無罪判決、和歌山事件の無罪判決は嬉しかったが、今回は畑山裁判長が逃げたなと思っただけ。検察は控訴できずに無罪が確定、刑事訴訟法による補償が30万円支払われることになったが、こんなことでは償われない。残る2名と湯川委員長の控訴審無罪を勝ち取り、再び生コン業界を正常化する」と決意を語りました。 

 


 活発な質疑の中で、熊沢誠共同代表からは、「コンプラ活動はアウト業者へのピケットライン、そこは譲らず主張すべき、権力が絶対に認めたくないのは産別労組のストライキ権、そこを乗り越えていくべきだ」と組合への叱咤激励がありました。

 

 まとめで、柿山事務局長から、「東海の会の特徴は、2回目の集会に西島組合員に来てもらい、『今だけ、金だけ、自分だけ、という考えが組合に入って変わった』と聞いた、それ以来、関生支部組合員と直接交流することを大切にしてきたことだ。今日も組合員からの発言で私たちの方が勇気をもらった。これからも勝利するまで共に頑張ろう。4月7日には全国同時行動の街宣に取り組もう。」と結びました。


2023.12.3 「国際人権から見た関西生コン弾圧」講演集会に70名

 名古屋市の東別院会館で「関生弾圧を許さない東海の会」が主催したこの集会では、エセックス大学人権センターフェローの藤田早苗さんの講演が行われました。藤田さんは特定秘密保護法案(2013年)、共謀罪法案(2017年)を英訳して国連に通報し、その危険性を周知、2016年の国連特別報告者(表現の自由)日本調査の実現に尽力した方。本年7月28日に国連人権理事会の「ビジネスと人権」作業部会の専門家2名が連帯ユニオン関生支部事務所を訪問し、「国連ビジネスと人権の作業部会ミッション終了ステートメント」中で関生弾圧を念頭に「労働組合員の逮捕や訴追の事例などについて、懸念を抱いています」と指摘されたことの意義などを解説しました。

 今回の集会はこれまで関西生コン弾圧をテーマにした集会には参加したことのない多く、また、テレビ局の取材も入り、運動の広がりを感じさせるものでした。 

 

 集会冒頭、主催者として石田共同代表が、「これまで弁護士や労働法学者、この問題を取材しているジャーナリストをお招きして集会をもってきたが今回は少し離れたところから講師をお迎えした。裁判だけでは限界があり、これをどう超えていけるのか、一緒に考えていきたい」と集会の趣旨を説明しました。

 続いて、関生ビラまき弾圧事件の当該組合員が発言に立ちました。組合員は、「コンプライアンス違反を指摘するビラを撒いたことが恐喝だとされ、組合つぶしのために2019年2月に被告となっている4名が警察に不当逮捕された。テレビドラマで裁判官が両方の意見を聞くシーンがあるが、実際の裁判では検察側証人10数名が延々と証言し、弁護側は労働法学者の証人が却下されて数名しか採用されず、労働法を知らない裁判官が憲法を無視して刑法だけで判断しようとしている。これは労働者・市民の武器を奪うものだ」と発言しました。 


 ビラまき弾圧当該でもある関生支部の西山執行委員は日頃の支援に謝意を表明。「現在、地裁ではビラまき弾圧など2件が残っている。証拠はビラを撒いている映像だけで、撮影したのは元大阪府警警察官。組合を離れていくメンバーもいたが、役員でもない組合員が最後までこの弾圧に頑張りぬいたことは大きな成果。警察は組合員の家族を訪問して黙秘を止めるように言ってくれと頼むなど無法な弾圧だった。検察調べでは組合を辞めたら刑を軽くする、不起訴にする等と言った。組合脱退を強要する取り調べの証拠も残っている。裁判だけをやっていても前には進まない。現場を潰させてはならない。政治の影響も大きい。民主党政権時代の139日間のストへの弾圧と安倍政権の2017年12月ストの弾圧を全然違う。裁判所も追随し、『法律は同じでも時代状況によって解釈は変わる」と判決している。現在、労働委員会の行政命令を履行させる取り組みをしているが、使用者側弁護士が労働委員会に勝利命令の損害賠償を請求することまで起きている。ゼロから、何年かかるか解らないが、産別労働組合運動を再建していく。未組織の労働者が労働組合に悪いイメージを持っていることも変えていかなければならないと思う」と発言しました。

 

 藤田さんは冒頭、「今、イギリスはストライキブーム、教員・鉄道労働者・弁護士・医療労働者までストライキを行っている。人々はもちろん迷惑も被るが、彼らの権利だから、と理解を示す。日本では


ストライキ権は死語になっている。帰国後、沖縄を出発点に講演会を行っている。沖縄戦で多くの犠牲者を出したチビチリガマのすぐ傍に犠牲者を出さなかったシムクガマがある。シムクガマではハワイで働いたことのある人が国際法規の交戦規程に一般市民の殺害を行ってはならないとあることを知っていて集団自決を思いとどまらせた。国際人権が使えることを理解してもらいたい。シングルイシューについて頑張っている人もいるが、全体が繋がっていて根底が一緒だと言いたい。木をみて森を見ないではいけない。」と講演の趣旨を説明されました。

 続けて、藤田さんは国際人権に関する概要を説明しました。日本では人権は「思いやり」のように言われるが、国際人権基準では、人権は人間らしく生きるのに不可欠なもので、政府は尊重・保護・充足の義務を負うと考えられている、闘争的な側面があることも認められているとしました。国連には人権条約機関と人権理事会とがあり、人権条約には社会権規約と自由権規約があり、日本も9つのうち8つを批准しおり、締約国は条約機関から実施状況の審査を受け、審査では政府からの報告と共に市民団体からの報告も参考にする、条約機関には個人通報制度もあり、多くの国がこれを利用できるようにしているが選択議定書に調印していない日本は個人通報制度が利用できず、最高裁の「次」を争うことができない、人権理事会にはボランティアの専門家からなる作業部会や独立報告者が権威あるものとして認知されていると説明されました。

 日本政府は憲法98で条約順守義務を規定しているが、様々な機関・報告者から勧告を受けながら、不誠実な対応を続け、国連人権機関の「クリティカル・フレンド」としての役割を理解してこなかった等、解説しました。


 今回の「ビジネスと人権」作業部会の関生支部訪問は、日本政府も「ビジネスと人権」原則の受け入れを対外的に表明する中で迅速に進んだ経緯があり、様々努力が実を結んで実現したと思われると解説しました。

 質疑応答に入り、多くの質問が出され、熊沢誠共同代表からは「産業民主主義は制度ではなく権利を行使する行動であって、その行動が免責されることで保障されているが、日本ではピケが認められず免責がなされていない」との発言がありました。


2023.7.30 関生・東海の会第5回総会に60名結集

久堀弁護士・湯川委員長、大いに語る!

 名古屋市熱田区の労働会館東ホールで、関西生コン労組つぶしの弾圧を許さない東海の会第5回総会が約60名を結集して開催されました。

 植木事務局次長から、昨年10月23日の「映画とトークで考える 女性と労働組合」集会、本年3月21日の「学習と交流のつどい」、毎月の街頭宣伝と運営会議、そして多くの裁判傍聴の支援を行なったことが報告されました。柿山事務局長からは、「さんざん酷い判決が続いたが、漸く良い判決も出始めた。私たちが一番重視するのは関生支部組合員との交流だ。反社会集団だとキャンペーンされているが、実際に会ってみるとどこにでもいる労働者、我々と何ら変わらないことが解ってもらえるはずだ」との提起がありました。会計監査の竹久さんからの詳しい会計報告があり、名古屋ふれあいユニオンの鈴木さんが集会決議を読み上げた後、総会は議案を拍手で確認、会の役員は全員留任することが決まりました。弾圧を許さない東京の会からJAM日本機械工業労組委員長の山口さんが連帯の挨拶、京滋実行委員会からは京都ユニオンの笠井さんが翌日の大津地裁包囲デモへの結集を呼びかけ、他に北海道、大阪、奈良の支援団体からメッセージが寄せられました。

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 続いて第2部、石田好江共同代表から「今日紹介する久堀文弁護士と湯川裕司委員長は、労働運動や社会運動が力を持っていた時代を経験した世代以後の人たち。そういう人たちがどういう理由でこれだけの闘いを続けるのか聞いてみようということでこの企画がなされた」と説明がありました。

 久堀弁護士は、自ら担当した刑事事件を紹介し、思いを述べました。要旨は以下です。

 「加茂生コン事件は団交申込から正社員化の要求に始まる全行為を強要未遂として起訴され、1審判決は一連の行為を分割して対応に当たった取締役が救急車を呼んで以降の要求に強要未遂を適用するという酷いものだった。それを大阪高裁で逆転し、無罪を勝ち取った。法廷で裁判官にも解ってもらえたと嬉しさがこみあげて号泣した。この7月に最高裁で上告の弁論が開かれ、9月11日の判決を待っている。不安もあるが、無罪が維持されると信じている。

 和歌山事件も高裁で1審判決を逆転し、無罪を勝ち取ることができた。事件後、組合を辞めて検察側の証人になったK氏の現場での発言が激しく、最近の刑事事件の傾向としてそれを理由に有罪にされてしまうのではと心配していたが、裁判官は経営者が組合に暴力団関係者を差し向けたという経緯を踏まえ、威力業務妨害・強要未遂には当たらないとした。また、産別労組への労組法・正当行為の適用も認めてくれた。判決を読むほどに判決に意義があると感じた。

  湯川委員長他の大津1次事件の判決は、刑法・労組法を理解してないのではと思われるほど、酷い判決。刑法の要件を満たした場合に、労組法の正当行為の適用があるか否かを判断しなければならないはずだが、この判


決は、刑法の要件を満たすから正当行為の適用はない、と書いており、法を全く理解していないと言わざるを得ない。高裁での無罪を獲得するために頑張るつもりだ。」

 久堀弁護士は、続けて、自らが担当した関生支部の民事事件、①光栄・昌栄不当労働行為事件(中労委命令待ち)②双葉産業不当労働行為事件(東京地裁で取消訴訟係属中)③藤原生コン運送事件不当労働行為事件(中労委命令待ち)④藤原生コン運送事件損害賠償請求事件(第1審係属中)⑤吉田生コン地位確認等請求事件(会社は上告断念。組合側のみ上告)⑥吉田生コン不当労働行為事件(大阪府労委調査中⑦千原生コン不当労働行為事件(中労委命令待ち)⑧奈良生駒生コン事件不当労働行為事件その1(中労委調査中)⑨奈良生駒生コン事件不当労働行為事件その2(府労委調査中)を紹介、さらに本年4月に中労委が旭生コン事件で大阪府労委の命令の一部を取り消したことの問題性を明らかにしました。

 さらに、久堀弁護士は、「自分は労働問題をバリバリやろうと思って弁護士になったわけではないが、関西生コンの解雇事件を受け持ってやっていると本人が逮捕される、労働委員会の打ち合わせをしていた担当執行委員が逮捕されるという中で、これだけ多くの事件を受け持つことになり、日本の人質司法の恐ろしさも実感した。関生支部の組合員たちが普通の日常を取り戻すまで頑張っていきたい」と話されました。

 湯川裕司関生支部委員長はこの間の弾圧、支部の現状、闘い続ける理由を飾らない言葉で語りました。要旨は以下です。

 「皆さんの支援を受け、やっと闘っていける状態になった。私たちは一人でも加盟できる産別労働組合だが、解雇・パワハラ等と闘うのが労組の本質。自分もそうだが、自分たちの生活を良くしたい、よりよい人生のために労働組合に加入して闘う。これを止めたら労働組合でなくなってしまう。

 清掃業が『ゴミ屋』と言われたように、生コン業界は『練り屋』と言われ、セメントメーカーのサービス業として落とし込められてきた。社長は無茶苦茶な人も多く、自分が法律、かつては3件に1件は暴力団がらみの闘いになった。

 


 弾圧については漸くまともな判断も出るようになったが、暴力団やレイシストを利用した広域協は何の制裁も受けずにスーパーゼネコンや行政と付き合っている。

 

  自分は2018年8月28日から8回9事件で逮捕され644日、布団を敷くと足が便器に当たる2畳の独房に入れられた。その間、弁護士接見以外は何もできず、仲間を信じるしかない。弁護士から仲間が組合を辞めたことを聞くことが一番辛かった。以前、斎藤建材事件で100日間勾留されたことがあるが、その時は保釈は大変嬉しかった。しかし、今回は勾留生活に慣れてしまった。

 実刑4年、裁判に当事者感がない。「労組法は知らない」「勾留理由は開示できない」と自ら述べる裁判官。弁護側の労働法学者等の証人は悉く却下、会ったこともない検察側証人が次々出鱈目を言っている。

 関生は10年に一度くらい大きな弾圧を受けたが、今回のような弾圧は初めて。勾留を解かれて外に出てきても良い話は一つもなく、四面楚歌のような状態だった。皆さんの支援で漸く闘うサイクルができるようになってきた。

関西の生コン価格は1リューベ24,000円まで値上がりし、それにつれ、セメントもトン当たり5~6000円上がって14000円になったが、労働者は非正規が増え、賃金も上がっていない。生コンが首都圏より高いのだからみんな正社員にできるはずだ。

 闘うのを止めたら労働組合でなくなってしまう。色んな労働者がいる。会社になじめない人、やんちゃな人、労働組合はその受け皿、極端に言ったらシェルターのようなもの。団結しなければ会社と対等な交渉はできない。大学も出ていない、勉強は嫌いという労働者が組合運動の中で自覚を形成してきた。労働組合は闘うところだ。世の中には全く注目してもらえない人たちもいる。支援を受けられるのは幸せなことだ。今回の弾圧で、関生支部に本当の覚悟ができたのではないか、と思う。」

 

 この後、会場から活発な質疑・意見が出され、生活保護裁判のアピールもあり、支援の広がりが感じられました。

最後に熊沢誠共同代表が以下のようにまとめました。

 「私は人格・個性に注目して話を聞いている。久堀弁護士には思い入れを、湯川さんには、この人について行けば何とかなる、と思わせるものを感じた。

 時代は急速に労働三権が失われる状況で、裁判官の劣化が進んでいるようだ。ロスジェネのインテリゲンチャにはfor the peopleという精神がなくなっている。

 権力は産別労組の雇用関係外の企業への働きかけを「営業妨害」とする線を崩そうとしていない。コンプライアンス活動は広義のピケット、労組の他企業への働きかけの正当性として論じていってもらいたい。」


2023.3.21学習交流会に60名結集

「関西生コン支部コンプライアンス事件判決が問うもの」

 3月2日の大津地裁、コンプライアンス事件の不当判決、3月6日の大阪高裁、和歌山事件の逆転無罪。2つの対照的な判決を踏まえての学習交流会には、60名が結集しました。

 集会は植木事務局次長の司会で始まり、石田好江共同代表の挨拶に続いて、同じく共同代表の中谷雄二弁護士の講演が行われました。

 中谷弁護士は、大津地裁の3・2判決について、「罪刑法定主義というのは本来、人間が自由に行動する基礎になるもの。刑罰を科すには、まず、行為が犯罪の構成要件に該当するか否かが判断され、次にそれが正当行為としての違法性阻却事由の適用があるかが検討される。さらに、公訴権の濫用があった場合、公訴が無効となる」とし、「3・2判決は、湯川が高圧的な口調で、『道路がよごれている。ステッカーの位置が悪い』と言ったことは相手を畏怖させる害悪の告知だとし、あるいは、『現場前側溝に生コン汚水垂れ流し!』というビラを手渡し、資材を搬入している運転手に、軽微な不備を指摘して作業工程を変更させたことを、威力を用いて業務を妨害した等、考えられないような事実認定をおこなっている。」と批判しました。

 そして、中谷弁護士は、「3・2判決は何よりも憲法28条、労組法1条2項に基づいて違法性阻却を検討することが全く行われていない。そもそも多衆が集まって要求する労働運動は相手を畏怖させることを伴う。しかし、それは普段は命令権限を持つ使用者に対抗するために必要なものとして労組法1条2項の刑事免責が与えられている。しかるに、昨今、労働三権を団体交渉に収斂させ、団交を保障する範囲でしか争議権を認めない学説が流布されている。企業内組合しか知らない、長らくストライキ、ピケッティングなどの闘争を目にしないことによる実力闘争に対する違和感が、関西生コン事件への理解が広がらない原因ではないか」と指摘しました。関生弾圧を見過ごすことは市民運動への弾圧に繋がることを、東海地方の大垣市民監視事件と白龍町マンション建設事件を例に挙げて指摘、「戦前の歴史を繰り返すのかが問われている」と結びました。

 続いて、3月6日に和歌山事件で無罪判決を勝ち取った関生支部役員が発言、「和歌山では企業側からの要請を受けて生コンのダンピングをしないよう協同組合の運営に協力して生コンの適正価格を実現、抜け駆けを意図して広域協組を設立させたMが連帯ユニオン事務所に元暴力団員を差し向けたことで事件が発生、アポを取って行った要請・抗議活動が一審では犯罪とされたが、今回の控訴審では無罪、私たちが行ってきた産別労働運動が認められたことが嬉しかった」と報告がなされました。

 第2部に移って、3・2コンプラ事件で被告とされた組合役員と組合員が発言。「検察と判決はコンプラ活動が㎥100円ポッチをもらうための活動としているが、私たちは自腹で交通費を出し、賃金カットを受けながらコン


プラ活動をしてきた。生コンへの加水を拒否して殴られたり、ものを投げつけられたりしこともある。安売り競争が不正を招き、それは結局、労働者の賃金へシワ寄せがくる。アウト対策はそれを許さない活動、悪いことをしているとは思っていない。威力のない労組では要求は通らない。これからもくじけることなくたたかっていく」「長期の拘留、3度も繰り返された逮捕、取り調べは組合からの脱退強要に終始した。検事調べでは録画が法廷で上映された。判決が、『捜査に違法性はなかった』と言ったことに怒りしかない」としました。 

 質疑を経て、共同代表の熊沢誠名誉教授が、「大阪スト事件と大津コンプライアンス事件では、関生の産業政策運動を認めないという権力意志がある。イギリスでは50万人の公務員ストが闘われている。スト、ピケッティングは国際的には当然の行為だ」と持論を展開、集会を結びました。

 

 集会後、支援と関生支部組合員が会場近くの居酒屋で交流、運動、弾圧、家族への感謝と話に花が咲きました。



2022.10.23「映画とトークで考える 女性と労働組合 満席の盛況!

 映画『ここからー「関西生コン事件」と私たちー』(土屋トカチ監督)の完成版の公開の場での上映は全国初。まさに「封切り」でした。また「女性と労働組合」という視点を前に押し出したことで、当会の催しに初めて参加された方もおられました。予定していた席は満席となりました。

 柿山事務局長の挨拶の後、大石あきこ衆議院議員(れいわ新撰組)からのビデオメッセージ。

「私も連帯ユニオン組合員。映画が完成し。是非を観たいところだけど、いろいろなことに追われてまだ観ることができていない。大阪府の公務員として働いていた。闘う労働組合としての関西生コン支部を知り、産業別労働組合の意義も知った。

 コロナ禍で、マスクも手袋も不足するような状態での過酷な勤務を強いられた大阪市の十三病院の医療労働者が労働組合を立ち上げ、闘って、勝利的な和解を勝ち取った。

 労働組合の闘いも、ある意味では「義理人情」の部分がある。松尾聖子さんはとても涙もろく、義理人情に厚い。その彼女が人生かけて闘っている。労働組合には”変える力”がある。」

 続いて待望の映画上映。参加者からは「是非、多くの人に観て貰いたい映画」という声がたくさん出ました。

 休憩を挟んで、石田好江共同代表をコーディネーターとして、松尾聖子さん(映画の主人公)、平田郁生さん(関生支部教育部長)と会場参加者とのやりとり。

 松尾さん「今、世間的には関生支部のイメージがとても悪い、関生支部のイメージアップになれば良いと思って、映画に撮影されることを承諾した。」「ミキサー車の女性運転手も多くなってきた。関生支部があって要求が通るようになった。」「義理の兄が逮捕されて、家族がバラバラになってしまった。」「組合は何も悪いことをしていない。私は組合を辞めない。」「他がストライキをしないから、弾圧に遭う…全国でストライキが当たり前になって欲しい。皆が労働組合に結集して闘えば、世の中は変わるはずだ。」

平田さん「自分は京滋ブロック担当役員。2017年のストライキに3日前に組合加入したが、間もなく大弾圧に遭って、2019年から役員をしている。京滋ブロック担当として、京都、滋賀の裁判で走り回っている。『東海の会』からは毎回のように公判傍聴に来て貰って感謝している。」「 松尾さんは涙もろい。よく泣く。映画の撮影中にもよく泣いていた。でも完成した映画では泣いているところはない。松尾聖子さんの葛藤も含めて、映画は人間をよく描いている。」「関生支部が、今シンドイのは事実。弾圧4年の歳月は苦しい。職場復帰するときには定年を超えてしまう、ということも出てくる。それぞれの人の抱える家族、生活の事情もある。でも大先輩達の闘いの足跡を辿ってみると、このままでは終わらない、必ず復活すると確信できる。」

  続いて、コーディネーターの指名で地元のユニオンの女性役員からの発言。

・名古屋ふれあいユニオン事務局長「専従になったばかり、よくわからないところも多々。ストライキが認知されていない、労働組合法とか、知られていない。もっと知らせていかねばならない。」

・女性ユニオンなごや「映画を観て、これが『日本の現実』と思った。全国に人に観てほしい。」「無知と無関心で現状を許してしまっている。知ることで動くはず。 


『仲間がいる』ということはとても大事。でも仲間をつくれない女性もいっぱいある。アルバイトなどの不安定雇用で繋がることもできない。この地域でも『女性交流会』を開催して、横の繋がりを作ろうと考えている。」

 

  他に、会場から「労働組合を作ったが、組合員が増えない、どうしたら良いだろうか」「かつてはストライキも当たり前だった。その当たり前をどう取り戻すか」「政治を変えて行かねばならないのでは」などの意見や質問が出されました。

 

 最後に熊沢誠共同代表のまとめ。

 「まず、映画ファンとしてひと言。労働組合は『人』がつくり、『人』でつながっている。弾圧は人の心の襞、生活の襞に切り込んで来る。松尾聖子さんの人となりは魅力的。その魅力を引き出し、誇りと悲しみの双方をたじろがずに見つめている土屋監督の複眼的視点が良かった。」「今、イギリスの炭鉱ストライキの研究を行っている。14万人の、1年以上にわたるストライキ。妥結する3日前まで7万人が残った。サッチャーの弾圧は凄まじく、流血騒ぎもあった。国民の大カンパで闘争が支えられた。家族もともに闘った。」「関西生コン支部の闘いはピケの問題。直接雇用関係にない企業・事業所にも、コンプライアンスを要求しピケッティングを行っている。」「日本の寒々とした風景の中で関生の闘い-労働者はすっくと立っている。まともな労働者のいるところに未来はある。」 


2022.7.31 関西生コン労組弾圧を許さない東海の会4周年総会

国政選挙のことは一旦忘れ、社会運動・労働運動の再建に全力を! 

 体温を超えるような暑さの中、東海の会第4回総会会場の労働会館東館ホールには、この4年間、運動を支え続けてきた仲間たちが続々と結集しました。

 

 愛知労働争議団の植木事務局次長の司会で始まり、近森共同代表が挨拶で、「労働運動、市民運動が力を合わせて柔からな運動として発展させていこう」と呼び掛けました。

 来賓のあいさつで、関西生コン支部の細野書記長は、「弾圧当初から会を立ち上げて頂き、裁判や集会にも東海の会が来ていないことがないくらいで大変心強く思っています。」と感謝を述べ、「5月23日の大阪スト判決では、裁判官が時代によって量刑は変わると判決文に書いた。今時、ストライキなのか、と司法が言っている。労働運動の停滞を打ち破っていかなければならない」と発言しました。京滋実行委員会の奥坂さんからは「京滋では弾圧以前から反基地反原発・沖縄等をテーマにユニオンと市民のネットワークがあった。裁判所前の行動を続け、この間、支部組合員との団結が強くなった。9月13日大津地裁論告求刑には集会デモを企画しているので参加して下さい」と呼びかけがありました。東京、奈良、北海道の会からもメッセージが寄せられました。


  植木事務局次長と柿山事務局長が、4か月ごとの集会・行動、裁判の傍聴派遣、毎月の街宣、ニュース発行等の活動報告と方針を提起、会計報告と青年労働者からの総会決議が提案され、満場の拍手で確認されました。最後に石田共同代表が「3月20日の集会では逮捕勾留された組合員たちが、支援があって頑張れたと言っていた。私たちも、逮捕されても闘う関生支部組合員たちの闘いが支えになってきた」と固い連帯を確認しました。

 集会後半は、『参議院選挙の結果と今後の反弾圧の闘い』をテーマに、共同代表の熊沢誠名誉教授と中谷雄二弁護士、大椿裕子氏(大阪教育合同・社民党副党首)、すがや竜氏(元郵政労働者・れいわ新選組豊橋)、細野直也関生支部書記長のパネルディスカッションと会場からの討論が行われました。

 熊沢教授は、「参議院選挙の結果は絶望的状況で戦争のできる国へと進んでいくであろう。一旦、国政選挙や野党共闘のことは忘れて、社会運動・労働運動の再建に全力を上げるべきだ。リベラル左派のアライアンスを作り出さなければならない。職場・教室・ネット・ママ友、家庭の同調圧力を打ち破り、ソサエティーに表現の自由を取り戻そう」と訴えました。

 中谷弁護士は、「熊沢さんの意見と同じだ。76.6%が改憲勢力となった。憲法9条に自衛隊の存在が書き込まれると国家の軍事的な利益が公共の福祉とされ、徴兵制への制約もなくなるというのが法律家の見解だ。私のやっている裁判の75%は労働事件だが、労働運動が裁判に依存しているような状況ではだめだ。表現の自由すら規制されるこの社会を子や孫に残せますか、と問いたい。関生弾圧はみんなの課題であるはずだ」と述べられました。 

 大椿さんは維新と対決しながら闘った選挙戦を振り返り、唯一政党として関生弾圧に反対してきた社民党の政党要件を勝ち取った意義を述べました。すがやさんはれいわ新選組の参議員選挙の報告と共に、小泉・竹中の郵政民営化で激変した郵政職場の実態を報告、ご自身が退職して政治活動を始めた理由を話されました。

 関生支部の細野書記長は、「弾圧は益々厳しくなるだろう。実際、弾圧と同様のことが全港湾、兵庫のユニオンに広がっている。近道はなくとも、回り道であっても、一人一人の労働者を組織することで状況を変えていきたい」と静かに決意を語りました。会場からの討論では、青年労働者たちが自らの職場に問題を語っていたのが印象的でした。

                                                                                                                                報告・愛知連帯ユニオン

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関ナマ東海の会第4回総会決議文

 産業別労働組合の関西生コン支部を暴力組織とみなし、国家権力による民主主義破壊行為が市民社会に持ち込まれました。そうした動きに呼応し「東海の会」は2019年に結成され関西の各地裁傍聴に参加し、愛知では「愛知連帯ユニオン」が提訴している事件の支援に取り組んでいます。

 参院選は自民党の圧勝、改憲勢力が議会で3分の2を占める勢力になるという結果で終わりました。「戦争する国」へ大きく一歩踏み出したといえます。安倍元総理の死亡事件を契機に、国葬を経て権力は労働運動や市民運動の解体への圧力を一層強め警察国家と化すおそれすらあります。こうした危機の中、革新政党、民主団体や労働組合など平和や暮らしを守る側に立つすべての運動体や組織は、その本気度と覚悟を問われています。

 関生支部弾圧で明らかにされたように権力によって奪われ、ないがしろにされた労働者の権利を擁護し、「市民社会の自由」を守るためイデオロギーや組織の枠を超えて手を携え、幅広い取り組みをつくっていくことが今後も大きな課題です。さらに一人ひとりの会員による周りの方々への呼びかけによって、会員を増していくことを第一の活動課題に据えていきましょう。労働組合の弾圧から戦争が始まった戦前の轍を踏まないように力を合わせましょう。

                                                                        2022年7月31日

 

関西生コン労組つぶしの弾圧を許さない東海の会第4回総会参加者一同


2022.3・20 関西生コン支部組合員との学習交流集会  

「今日の集会ほど面白かったことはない」

 主催者側の予測より多く、70名近くの方々が参加しました。

 開会にあたっては石田好江共同代表が挨拶し、ウクライナ・ロシアの問題、フェミニズムの問題にも触れながら、「(この集会は)各個人と権力との問題について私たちが考えるきっかけになるのではないか。」と、集会に期待を寄せました。

◆無罪は当たり前のこと

 その後早速、加茂生コン事件の当該YI執行委員から当事者の視点で報告がありました(別記事で傍聴報告)。明らかな不当労働行為が起こっていた最中の事件であったことが、警察の不当性を如実に表していたと思います。次に、同じく加茂生コン事件当該で、控訴審判決で無罪を勝ち取ったYD組合員から報告。YD組合員は「無罪は当たり前のこと。」と、異常な状況を真剣に語りました。一方で「(開会挨拶で)ハードルを上げられ話すことがなくなった。」と会場をどっと沸かせる場面も。

  もう一人の報告者は3月10日の地裁不当判決から間もない和歌山事件(別記事で傍聴報告)など3事件の当該であるO執行委員。「(権力の)目的は関生をつぶすこと。」と、労働法を無視した権力の弾圧に対する怒りを明らかにしました。また、「出てきてもすぐ捕まるような話があったので毎朝4時に目が覚めるようになった。1年半ずっと捕まっていたような気分。」と、精神的に追い詰められてきた心境を語りました。

◆戻ってこられる環境をつくる

 この後は主催者側や会場からの質問をもとに交流。弾圧によって組合員が劇的に減ってしまったこと、やむを得ず去っていった組合員に対し「戻ってこられる環境を作っていかなければ。」という決意、留置所で経験した劣悪な環境など、実体験をもとに話していただきました。このほか、加入のきっかけやその後の関わり方もそれぞれの視点で笑いを交え語っていただき、女性組合員の労働条件改善に力を入れてきたことについても具体的な事例を含め報告がありました。また、組合員一人で会社と争っているという参加者から闘い方についてアドバイスの求めがあった際には、「社前行動も法廷闘争もやっていく覚悟で。」とか、「組合員であることに誇り・自信を持つこと。それによって周りが仲間になる。」と、熱のこもったアドバイス。

◆横の繋がりが支えとなる

 組合員が減ってしまうような弾圧の下で、前向きに「戻ってこられる環境を作っていく」と頑張れるのは、残った組合員の団結力もさることながら、「この弾圧は見過ごせない」と関生支部と連帯し支えようとする「東海の会」のような団体が、全国各地出来、それぞれが活動していることも大きい、と参加した関生支部組合員が、口々におしゃっていました。私たち「東海の会」の活動は大きな力はなくても、やはり横に繋がって拡がる動きは、確実に支えと反撃の一助になると、私たち自身も励まされました。

◆つぶしてなるものか

 閉会にあたって、熊沢誠共同代表は「今日の集会ほど面白かったことはない。」と感想を述べました。さらに熊沢代表は、「絶対に許しことができないのは、検察の不当労働行為。」、「関生の運動は世界的に見たら真っ当だが、日本ではまともな労働組合が少ないから弾圧される。」、「関生は貴重な存在。これをつぶしてなるものか。」との言葉でこの会を締め括りました。